「お邪魔しまぁす」と森に入ると、待ってましたとばかりに春ゼミに出会う。
長い間地中にいて日が当る別世界にたった今お目見えしたのかシースルーの羽根から
落ちまいとしがみついている足に頼りなさがある。まだ鳴くにしては少し寒すぎる。
早く高い木に登らないと危険が迫り来るというのに。

森は新緑に覆われ始め、鳥のさえずりが賑やかなのに中々姿をとらえる事が
できなくなった。首が痛くなるほど探しても長くとどまることがないので声だけ聞くことになる。
声を聞いただけで鳥の名前が分かるといいのだけれど、無理。

今の季節チゴユリが可愛らしい。うつむきかげんでしおらしく咲き、柔らかな雰囲気を
かもし出している。

森の話

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