森の話
再会 Perte 2 ふくろう
   

 最近、森が変わってきた。
人為的な倒木が目立ち、草花が減り、絶え間ない鳥の声がいつのまにか静かだ。
あのうっそうとした怖いほど黒い森はどこに行ったのか。

はたまた、大沢口に近ずくとブルトーザーの音がする。「いったいこれは何!!」 毎年見事に 花をつけるウツギの周りを掘り起こしている。
聞くところによると、駐車場を広くし煉瓦を敷つめるため向かい側に移動するという。 こんなに雪が降ってから大丈夫?

駐車場を広くして、人集めをする必要がどこにあるというのか。

この森にいつも来ている人に聞いて下さい。誰もが「樹を切ってまで立派な駐車場はいらない」と答える。
森に足を運ばない人が何故、安易に計画し無駄なことをするのだろうか。怒りだけがいつまでも残る。

富良野の倉本聡さんはニングルという芝居で「自然は祖先からの借り物です。そのまま次の世代に引き継がなければならない」とメッセージをおくっている。

木々や草花鳥が住み易い環境は、人間もしかり、森から多くのエネルギーをもらい安らかに居住できる。
「どうか木を切らないで下さい!!!」                              
そんな折り、工事現場に近いハルニレの大木に、フクロウが羽を休めているのを発見!
恋人に再会したような熱いまなざしで双眼鏡を覗き、居るのを確認するとほっとする。4時になるとどこかへお出かけするらしい。
だんだんギャラリーも賑わいだし、「寒くないの?」と心配する子どもたち。
 一段とブルが唸りをあげ、排気ガスのにおいが辺りに広がる。

2年前、この同じハルニレの樹で始めて目にしたフクロウは、夕日の中で輝く羽が風に揺れていた。
片目をつぶっていたり、顔を隠していたり、あくびをしたりと、どんな仕草をしても可愛らしく、見る者を虜にした。
去って行ったと判った時、また是非会いたいと誰もが森を大切にしようと思った。

(98'11'30記)


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