森の話
クマゲラに再会

根雪になって初めて行く森を想像した。どこをとっても一枚の絵を見るように目の前に広がっていく。木々や鳥たちは元気にしているだろうか。
毛糸の帽子に手袋、長靴の歩きにくさを我慢しつつ、足跡の上をなぞるように進む。

葉を落とした木々は覚悟ができているのか凛々しく、雪雲の空を仰いでいる。
わずかばかり黄金色を残した唐松は、雪の花を咲かせ肩を寄せている。

立ち止まると、小鳥たちがおしゃべりし、リスのおっかけっこで騒がしい。
ふさふさのしっぽをのばし垂直に降りてきたかと思うと、雪の地面を堀、両手を口に朝食?両耳をピンと立てじっとこちらを見ている。
樹から樹へ見事に飛び、そのたびに雪がパラリと地面に落ちる。  

目の前を黒いものがかすめた。
一瞬カラスかと思ったが、頭が赤い。「クマゲラだ!」木の根元にしがみついてつついている。
警戒なしに3m程に近付いて来る。なんてかわいい目をしているのだろう。こういう時に限ってカメラがない。アオゲラとのツーショットのチャンスがあったのに、残念!!

クマゲラに始めて会ったのは4年前。やはり冬だった。森中に響きわたるドラミングに圧倒されしばし聞き惚れた。 乾いた音の正体を探し当てた時、赤いベレーをかぶり鋭いくちばしが樹を直撃していた。「カァーン、カァーン」

ここ数年、野幌原始林での調査によるとクマゲラの鳴き声は聞いたが、姿は確認できなかったという。でもやっぱりいた。この目で間違いなく確認できたことはとても嬉しい。
今回見たのは親鳥ではないけれど、きっと親鳥にも会えるかも・・・。また一つ楽しみが増えた。

                     (98'11'27記)


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