森の話
森の秋
   

 森の秋は落ち葉からはじまる。 森の秋はとっても忙しい。
朝の食事の時間は音を立てないように歩く。
せっかくの食事中に思いもよらず心を残して飛び立たせるのは忍びないから。

いつもの小道を歩いていると、どうも水が流れる音がする。2、3日前の雨水が集まってそうなったのか?
辺りを見渡すと、枝先の葉があちこちで動いている。一歩踏み出すと水の音が小さくなる。フム!フム!。
あの太い黄色いくちばしは「イカル」だ。一斉に飛び去った。
群をなして木の実をついばんでいたのがピチャピチャとなって、水の流れのように聞こえたのだ。
それにしても賑やかな食事だった。

枝の折れる音と同時に、木の葉がばさばさと落ちてくる。 今度は誰の仕業?
「今年流行のね、いいのがあるのよ。こっち、こっち」 「それどころじゃないの!きのう隠した、どんぐりが・・」とんでもない大騒ぎがはじまった。
そのおしゃべりは、大きな舌打ちの連続ような、奇妙なもの。
エゾリスは、やんちゃ坊主だね。 自分の体ほどの立派なきのこをくわえているのに出くわしたことがある。
「しっまった!見つかってしまった」という顔で目が合う。茶目っ気たっぷりに。

きょうは、恐怖のスズメ蜂の巣を発見。双眼鏡を覗くと、小さな出入り口からハチが顔を出している。
葉が落ちて、なんとも間が悪そうにバレーボールほどの巣は人目にさらされている。きれいな縞模様で。

急激に森の景色が変わり、目が離せない感動がある。ルンルン!!

 
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